年金生活のリアルな収支

年金生活。第二の人生のスタート地点であり、多くの方が待ち望む時間です。しかし、実際に年金だけで生活していくとなると、漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。「本当に年金だけで足りるのだろうか?」「生活水準を落とさざるを得ないのだろうか?」といった疑問は、決して珍しいものではありません。

この記事では、年金だけで生活を送ることを想定し、リアルな収支の内訳を詳細に解説します。固定費、変動費といった具体的な費目ごとに、平均的な支出額を提示。さらに、年金収入との差額を明確にし、不足額を把握するためのシミュレーションを行います。ご自身の状況と照らし合わせながら、今後の生活設計の参考にしていただければ幸いです。

年金収入の現実:平均受給額を知る

まずは、年金収入の現状を把握しましょう。厚生労働省が発表しているデータによると、年金の平均受給額は以下の通りです。(令和5年度)

  • 国民年金(老齢基礎年金):約6万6千円/月
  • 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む):約22万円/月

これらの金額はあくまで平均であり、個々の状況によって大きく異なります。ご自身の年金受給額を正確に把握することが、収支を考える上で最も重要なステップです。年金定期便や、ねんきんネットなどを活用し、正確な受給見込額を確認しましょう。

ご自身の年金見込額を確認する方法

  • 年金定期便: 毎年誕生月に送られてくるハガキまたは封書。これまでの加入実績に応じた年金見込額が記載されています。
  • ねんきんネット: 日本年金機構のウェブサイトで、オンライン上で年金記録や見込額を確認できます。事前に利用登録が必要です。
  • 年金事務所への相談: 年金事務所に直接相談することで、個別の状況に応じた詳細な情報が得られます。

生活費の内訳:固定費と変動費を把握する

次に、生活費の内訳を見ていきましょう。生活費は大きく、固定費と変動費に分けられます。それぞれの費目について、具体的な金額を把握することが重要です。

固定費:毎月必ずかかる費用

固定費とは、毎月ほぼ一定額かかる費用のことです。生活の基盤となる部分であり、見直しを行うことで大きな節約効果が期待できます。

  • 住居費: 持ち家の場合、住宅ローン、固定資産税、都市計画税、修繕積立金などが該当します。賃貸の場合は、家賃が主な住居費となります。
  • 水道光熱費: 電気代、ガス代、水道代。季節や使用量によって変動しますが、月々の平均額を把握しておきましょう。
  • 通信費: スマートフォン、インターネット回線、固定電話などの費用。プランを見直すことで、削減できる可能性があります。
  • 保険料: 生命保険、医療保険、火災保険、自動車保険など。保障内容と保険料のバランスを見直すことが大切です。
  • 税金・社会保険料: 国民健康保険料、介護保険料など。年金から天引きされる場合もあります。
  • その他: 習い事、定期購読、NHK受信料など。

固定費シミュレーション:持ち家の場合

ここでは、持ち家で生活する場合の固定費の例をシミュレーションしてみましょう。

費目 金額(月額)
住宅ローン 50,000円
固定資産税・都市計画税(月割り) 15,000円
修繕積立金 10,000円
水道光熱費 20,000円
通信費 10,000円
保険料 15,000円
税金・社会保険料 30,000円
その他 5,000円
合計 155,000円

固定費シミュレーション:賃貸の場合

次に、賃貸で生活する場合の固定費の例をシミュレーションしてみましょう。

費目 金額(月額)
家賃 80,000円
共益費 5,000円
水道光熱費 20,000円
通信費 10,000円
保険料 10,000円(家財保険など)
税金・社会保険料 30,000円
その他 5,000円
合計 160,000円

上記はあくまで一例です。ご自身の実際の支出額を把握し、見直せる部分がないか検討してみましょう。

変動費:毎月変動する費用

変動費とは、毎月金額が変動する費用のことです。工夫次第で節約できる部分が多くあります。

  • 食費: 食材費、外食費、お酒代など。
  • 日用品費: 洗剤、トイレットペーパー、シャンプーなど。
  • 交通費: 電車代、バス代、タクシー代、ガソリン代など。
  • 娯楽費: 趣味、旅行、イベント参加費など。
  • 医療費: 病院代、薬代など。
  • 被服費: 衣料品、靴、アクセサリーなど。
  • 交際費: 友人との食事代、お祝い金など。
  • その他: 予備費、お小遣いなど。

変動費シミュレーション

ここでは、変動費の例をシミュレーションしてみましょう。

費目 金額(月額)
食費 40,000円
日用品費 5,000円
交通費 5,000円
娯楽費 10,000円
医療費 5,000円
被服費 3,000円
交際費 5,000円
その他 2,000円
合計 75,000円

変動費は、個々のライフスタイルによって大きく異なります。レシートを記録したり、家計簿アプリを活用するなどして、ご自身の支出を把握しましょう。

収支シミュレーション:年金収入と生活費の差額を計算する

これまでの情報を元に、年金収入と生活費の差額を計算してみましょう。ここでは、いくつかのケースを想定してシミュレーションを行います。

ケース1:国民年金のみで生活する場合

  • 年金収入:約6万6千円/月
  • 固定費(持ち家):約15万5千円/月
  • 変動費:約7万5千円/月
  • 合計生活費:約23万円/月
  • 不足額:約16万4千円/月

国民年金のみで生活する場合、大幅な不足が生じることがわかります。生活費の見直しはもちろん、貯蓄の取り崩しや、何らかの収入源を確保する必要があるでしょう。

ケース2:厚生年金(夫婦2人分)で生活する場合

  • 年金収入:約22万円/月
  • 固定費(持ち家):約15万5千円/月
  • 変動費:約7万5千円/月
  • 合計生活費:約23万円/月
  • 不足額:約1万円/月

厚生年金(夫婦2人分)で生活する場合、不足額は比較的少なくなります。しかし、ゆとりのある生活を送るためには、やはり生活費の見直しや、貯蓄を有効活用することが大切です。

ケース3:持ち家なし、賃貸で厚生年金(夫婦2人分)で生活する場合

  • 年金収入:約22万円/月
  • 固定費(賃貸):約16万円/月
  • 変動費:約7万5千円/月
  • 合計生活費:約23万5千円/月
  • 不足額:約1万5千円/月

賃貸の場合、持ち家よりも固定費が高くなる傾向があります。そのため、不足額もやや大きくなる可能性があります。

これらのシミュレーションはあくまで一例です。ご自身の状況に合わせて、正確な収支を計算し、今後の生活設計に役立ててください。

不足額を埋めるための対策

年金収入だけでは生活費が足りない場合、いくつかの対策を検討する必要があります。

生活費の見直し:節約できる部分を探す

まずは、生活費の見直しを行い、節約できる部分を探しましょう。固定費、変動費それぞれについて、無駄な支出がないかチェックすることが大切です。

  • 固定費の見直し: 保険の見直し、通信費のプラン変更、電気会社やガス会社の乗り換え、住宅ローンの借り換えなど。
  • 変動費の見直し: 食材のまとめ買い、自炊の頻度を増やす、外食を控える、公共交通機関の利用、趣味にかける費用を抑えるなど。

資産の活用:貯蓄の取り崩しや運用

貯蓄がある場合は、計画的に取り崩すことを検討しましょう。また、資産運用を行うことで、収入を増やすことも可能です。ただし、リスクを伴うため、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

就労:再就職やアルバイト

体力や健康状態に問題がない場合は、再就職やアルバイトをすることも有効な手段です。年金収入に加えて、労働収入を得ることで、生活にゆとりが生まれます。

公的支援制度の活用

生活困窮者向けの公的支援制度を利用できる場合があります。自治体の福祉窓口に相談してみましょう。

まとめ:将来を見据えた生活設計を

年金だけで生活するというのは、決して簡単なことではありません。しかし、早めに現状を把握し、対策を講じることで、安心して老後を過ごすことができるはずです。この記事が、皆様の生活設計の一助となれば幸いです。定期的に収支を見直し、常に最適な生活スタイルを追求していくことが大切です。