在宅介護を支える制度と道具

人生100年時代と言われる現代、住み慣れたご自宅で、安心して快適な生活を送りたいと願う方は多いのではないでしょうか。この記事では、在宅介護を支えるために知っておきたい制度と、日々の生活を楽にするための道具についてご紹介します。介護は決して一人で抱え込むものではありません。制度を賢く利用し、適切な道具を活用することで、ご本人も介護する方も、より豊かな生活を送るためのサポートになるはずです。

介護保険制度について

介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支えるための制度です。40歳以上の方が加入し、介護が必要になった際に、介護サービスを受けることができます。まずは、介護保険制度の基本的な仕組みについて理解しておきましょう。

介護保険の申請方法

介護保険サービスを利用するためには、お住まいの市区町村の窓口で申請が必要です。申請後、認定調査員による訪問調査が行われ、心身の状態が確認されます。その後、審査会で介護度が判定され、認定結果が通知されます。

申請から認定までには、通常1ヶ月程度かかります。早めに申請することで、必要な時にスムーズにサービスを利用開始できます。

介護度とは?

介護度は、要支援1・2、要介護1~5の7段階に分かれています。介護度によって、利用できるサービスの種類や利用限度額が異なります。

介護度 状態の目安 利用できるサービスの例
要支援1 日常生活はほぼ自立しているが、一部見守りや手助けが必要 介護予防訪問介護、介護予防通所介護など
要支援2 日常生活に一部困難があり、比較的軽度の介護が必要 介護予防訪問介護、介護予防通所介護、福祉用具の貸与など
要介護1 日常生活に部分的な介護が必要 訪問介護、通所介護、福祉用具の貸与など
要介護2 日常生活に中程度の介護が必要 訪問介護、通所介護、福祉用具の貸与、短期入所生活介護など
要介護3 日常生活に重度の介護が必要 訪問介護、通所介護、福祉用具の貸与、短期入所生活介護、特別養護老人ホームへの入所など
要介護4 日常生活に非常に重度の介護が必要 訪問介護、通所介護、福祉用具の貸与、短期入所生活介護、特別養護老人ホームへの入所など
要介護5 日常生活がほぼ全般にわたり介護が必要 訪問介護、通所介護、福祉用具の貸与、短期入所生活介護、特別養護老人ホームへの入所など

利用できる介護サービスの種類

介護保険で利用できるサービスは、大きく分けて以下の3種類があります。

  • 居宅サービス:自宅で受けられるサービス(訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーションなど)
  • 通所サービス:施設に通って利用するサービス(通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)など)
  • 施設サービス:施設に入所して利用するサービス(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など)

ご自身の状態や希望に合わせて、適切なサービスを選択することが大切です。ケアマネジャーに相談することで、最適なケアプランを作成してもらえます。

在宅介護を快適にするバリアフリー改修

住み慣れた家で安全に、そして快適に生活するために、バリアフリー改修は非常に有効な手段です。介護保険を利用することで、改修費用の一部を補助してもらうことができます。

介護保険を利用した住宅改修

介護保険では、一定の条件を満たす住宅改修に対して、**最大20万円**までの補助金が支給されます。対象となる改修工事は、以下の通りです。

  • 手すりの取り付け
  • 段差の解消
  • 滑り止め床材への変更
  • 引き戸等への扉の取り替え
  • 洋式便器への便器の取り替え
  • その他付帯工事

これらの改修工事を行うことで、転倒のリスクを減らし、自立した生活をサポートすることができます。

改修工事の進め方

バリアフリー改修を行う際は、まずケアマネジャーに相談し、改修の必要性を確認してもらいましょう。その後、複数の業者から見積もりを取り、工事内容や費用を比較検討することが重要です。

工事を行う際は、お住まいの市区町村の窓口に申請を行い、事前承認を得る必要があります。工事完了後、領収書などを添えて申請することで、補助金が支給されます。

改修事例と効果

例えば、玄関に手すりを取り付けたことで、靴の脱ぎ履きが楽になり、転倒の不安が軽減されたという事例があります。また、浴室の段差を解消し、滑り止めマットを敷いたことで、入浴時の安全性が向上したという事例もあります。

バリアフリー改修は、ご本人だけでなく、介護する方の負担軽減にも繋がります。

在宅介護をサポートする便利な道具

介護は、体力的に大きな負担となることがあります。便利な道具を活用することで、介護の負担を軽減し、より質の高い介護を提供することができます。

移動をサポートする道具

  • 歩行器:歩行をサポートし、転倒のリスクを軽減します。
  • 車椅子:長距離の移動や外出時に役立ちます。
  • リフト:ベッドから車椅子への移動など、抱きかかえる負担を軽減します。

入浴をサポートする道具

  • シャワーチェア:座って入浴できるため、立ち座りの負担を軽減します。
  • 入浴用リフト:浴槽への出入りをサポートします。
  • 滑り止めマット:浴室での転倒を防止します。

排泄をサポートする道具

  • ポータブルトイレ:ベッドサイドに設置できるため、夜間のトイレの負担を軽減します。
  • おむつ:排泄介助の負担を軽減します。
  • 防水シーツ:ベッドを汚染から守ります。

食事をサポートする道具

  • 介護用食器:持ちやすく、滑りにくい設計で、食事をサポートします。
  • 食事用エプロン:食事中の汚れを防ぎます。
  • とろみ調整食品:飲み込みやすくし、誤嚥のリスクを軽減します。

これらの道具は、介護用品店やインターネット通販などで購入することができます。介護保険を利用することで、福祉用具の貸与や購入費の補助を受けることもできます。

まとめ

在宅介護は、ご本人にとっても介護する方にとっても、大変な道のりです。しかし、介護保険制度やバリアフリー改修、便利な道具を活用することで、その負担を軽減し、より快適な生活を送ることができます。

介護は決して一人で抱え込むものではありません。地域の包括支援センターやケアマネジャーに相談することで、様々な支援を受けることができます。困ったときは、遠慮なく専門家に相談し、適切なサポートを受けてください。